2拠点生活エッセイ第14回「農家民宿で遊ぼう」

4月から6月は「農家民宿って遊べるんちゃうか」といまさら気づいた3ヶ月だった。
福知山市雲原で開く農家民宿に泊まってくれたTさんファミリーと、Sさんファミリーのおかげである。

この2組に巡り会うまで、うちの農家民宿のお客さんは友人や知人がほとんどだった。
彼らは基本的に私と話すことを目的にしているか、どんなふうに生きているのか確認するために来てくれるので、農業体験のできる民宿だからといって泊まって農作業をして帰る人はほとんどいなかった。

そもそも農業といっても私がやっていることは米作りだけで、提供できる花形の体験といえばやはり田植えか稲刈りである。(実際これらは去年友人たちに手伝ってもらった)
その2つ以外になると、土起こし・草刈り・雑草引き・水管理・脱穀・精米などがある。そういう作業も全部やっていれば田んぼや稲たちのちょっとした変化を感じ取れてとても楽しめるが、そうかといって一泊二日の滞在中に「一緒にやりませんか?」と誘うにはちょっと地味かなぁ・・・と正直なところ引け目を感じていた。

でも、その発想は不遜だった。

Tさんファミリーと、Sさんファミリーがやって見せてくれた動きは、田畑=農業する場所、農業=米作りに関することという私のせまい前提を飛び越えた。

畑の脇の柿の木にスルスル登る、柿の葉の新芽を摘んで天ぷらにする、休耕田で荒れ放題になっている田んぼに普通の靴で突っ込んでいってお母さんが眉をひそめるほど泥だらけになる、普段着のまま畑に入って耕運機で畑の土を起こす、トラクターに乗って休耕田を耕す、草ボウボウの荒地がひっくり返ってフカフカになったところを気をつけながら歩く、イモリやトノサマガエルを捕まえまくる、そして逃がす、気づけばまた服がハンパなく泥だらけになる、、、

がっつりと農作業をしなくても、たとえ数時間でも、田んぼや畑で思いっきり好きなように動くのは楽しい。
遊ぶように楽しい時間を、いっしょに過ごせるのがうちの農家民宿なのだ。

農家民宿を開いた頃から、ともに生活するように雲原での時を過ごしてくれる人に会いたかった。自分たちだけでは、この家も田畑も活かしきれていないことがハッキリ分かっていたからである。
いざそれが現実になって目の前に現れたとき、とてもまぶしい光を見ているような気持ちになった。
SさんとTさんにとって宿がどんな位置付けにあるかはわからないけれど、できれば長く付き合っていきたい。思い出したときにふと帰れるふるさとのように、また遊びに来てくれるかな。

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吉田美奈子
農家民宿「雲の原っぱ社」宿主。1989年生まれ。福知山市で生まれ育つ。京都女子大学現代社会学部現代社会学科卒業後、NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝で地域教育に関わる。2012年、福知山市の雲原地区へ単身移住。2016年、結婚を機に京都市との2拠点生活スタート。同年11月、女児の母となる。クマと星野源と夫が好き。 ツイッター▷@kumonoharappa ホームページ▷雲の原っぱ社

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