2拠点生活エッセイ第19回「ラジオに出て」

いい夫婦の日、家族でラジオに出演した。

FM丹波で毎月第4木曜日に放送中の「このあたりのラジオ」は、山山アートセンターのイシワタマリさんがパーソナリティで、ラジオ婚活と銘打った画期的な番組である。

婚活中のひとが一人ずつゲストとして登場し、事前に準備されたゲスト自身の「自己紹介AtoZ」と「結婚に求めるものAtoZ」を、マリさんが質問と対話を重ねて、ゲストの人柄や結婚観を伝え、いい!と思ったリスナーが番組宛に連絡をするという仕組みだ。

今月は放送日が11月22日のいい夫婦の日ということで特別編となり、すでに結婚している私たちと娘の3人が出演させてもらうことになった。

ラジオの収録は放送日の2週前に行われる。
私たちはマリさんから事前ワークとして、「相手の好きなところ・嫌いなところ(直してほしいところ)AtoZ」を考えておいてほしいと依頼された。
お互いのことは毎日好きだと言い合っているけれど、具体的にどういうところに好意をもって見ているのか・相容れないと思っているのかを改めて考えると、へぇ~と目尻が下がったり鼻の下がのびるような内容になった。

収録の日、そのワークを手に福知山市のFM丹波へ向かうと、FM丹波の社長さんとDJの能戸さんが迎えてくださった。
「今回はご夫婦です、とは聞いていたんですけれど、まさか吉田さんたちだとは!うれしい~!」と驚かれつつも、あたたかく受け入れてくださってホッとした。

能戸さんのお話によると、「このあたりのラジオ」を放送している「七色バラエティワイド」という時間枠には色んな活動をしている市民の方が週替わりで登場するそうだ。番組内容や進行は基本的にパーソナリティーにおまかせだそうで、自由度はとても高いのだという。
友人であるマリさんに誘われたから出るという身軽さでここまで来たものの、実際どんなふうになるのか見当もつかなかったので、能戸さんのお話をきいて少し安心した。

そのあとマリさんも到着して、打ち合わせが始まる。
マリさんは「この2人ほど、会う度に顔が似てくる夫婦はいないよ」と笑いながら、私たちが持ってきたAtoZの回答やご自身で用意された進行の紙に目を通していく。

「嫌いなところ無いのか!」
「思いつかなくて」
「特にこのワードに触れてほしいっていうのある?」
「Kのくま語で会話するところ、とかですかねー」
「ふたりは結構ずっといっしょにいるよね」
「そうですねー、だいたい一緒ですね」

話しながら線を引いたり書き込みを入れているマリさん。ヘッドフォンを頭に着けてみたり、キョロキョロする私たち。興味津々でうろうろしている娘。遊んでくれる能戸さん。音響の調整ブースへ着席される社長さん。
放送への準備が着々と進んでいく。少しずつ緊張していく。

そして、いざ本番。

「このあたりのラジオ」とマリさんが言ったあと、私たちも声を重ねて「いい夫婦の日スペシャル~」とタイトルを読む。第一関門の突破に、思わず笑いそうになる。
マリさんの落ち着いた流暢なしゃべりで番組について説明されたあと、私たちも紹介され、いよいよ話し始める。

30分間のおしゃべりというのは、長いようであっという間だ。印象に残ったのは、終わり際にマリさんが言ってくれたことである。

「結婚してから、美奈ちゃん、人が変わったもんね。いい意味ですごく変わった」
「そうですよねー」
「自分でも思うでしょ」
「思う思う~」
「これまで色んなことを全部背負いこんで頑張ってたところに、最後の大ご褒美でもんちゃん(夫)と出会えて、ほんとよかったね。大感動。」

たしかにマリさんのいうように、夫に出会うまでの私は福知山市雲原地区に単身で移住して、そこで暮らしていくために「頑張って」いた。その頑張りは、ひとりで自立するためのものだった。

ひとりでやっていくために何ができればいいかを考えて一つずつ試していく日々は、充実もしていたが疲労も大きかった。

そんなところにヒョッコリやってきた夫は、あっという間に暮らしになじんだ。そして、ひとりで自立を目指す私の世界の枠をポーンと取り払って楽にしてくれた。

考える、向き合う、喜ぶ、食べる、笑う、泣く・・・

あらゆる行動の始まりから終わりまで共にするという体験が、付き合い始めた日から現在にいたるまで続いている。
人生のパートナーを得たことは、私にとって人生最大のご褒美といって間違いない。

でも、自分たちだけでそう思っているのではなくて、第三者のマリさんがそう言って喜んでくれていたということが、とても嬉しい驚きだった。

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吉田美奈子
農家民宿「雲の原っぱ社」宿主。1989年生まれ。福知山市で生まれ育つ。京都女子大学現代社会学部現代社会学科卒業後、NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝で地域教育に関わる。2012年、福知山市の雲原地区へ単身移住。2016年、結婚を機に京都市との2拠点生活スタート。同年11月、女児の母となる。クマと星野源と夫が好き。 ツイッター▷@kumonoharappa ホームページ▷雲の原っぱ社

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