ふくてぃーやま

2017.6.29

2拠点生活エッセイ 第3回 保育園はどうするの?

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6月は、時間ができたので、色んなところへ出かけた。

時間ができた理由は2つある。

ひとつは、田んぼ仕事が一息ついたこと。田植えを手伝いに来てくれた友人たちのおかげで過去最高にかわいく思えるイネたちは、今日ものんびりと育っている。

その周りですくすく育つ雑草を、田車でバシャバシャギッコギコと取り除くことが、ここ最近の楽しみである。

もうひとつには、娘の育児に余裕が出てきたこと。

生後7ヶ月になる娘はひとりで完璧に座れるようになり、今はつかまり立ちをマスターしようとしている。好奇心旺盛で、寝ているとき以外は常にあちこちへ這っていく。

一日中目が離せないが、一人遊びに没頭してくれる時間も増えたので、私と夫にはこれからのことを考える余裕が生まれた。

そこで、保育園の見学に出かけることにした。

「保育園はどうするの」問題

保育園のことは、娘が生まれた頃からずっと頭の片隅にあった。

産後すぐの頃から「保育園はどうするの?」と周りによく聞かれていたからだ。

当時はそれどころではなかったので、毎回「ぼちぼち考えます〜」と答えていた。

ちなみに、私たち夫婦は二人とも小学校に上がるまで保育園で育ち、それぞれに楽しかった思い出がある。

だからこそ、夫は「入れるなら入ったらいいんじゃないかな〜」と考えていたようだ。

一方私は、そもそも京都市と福知山市を行ったり来たりする2拠点生活をしながら娘を保育園に通わせることが出来るのか?ということを、調べること自体が億劫に思えて「別に通わなくても・・・」と考えていた。

とはいえ、調べないままに判断するのもちがうなぁ〜と思っていたので、この度ついに向き合うことにしたのである。保育園がどんなところなのかを、見学に行って知ることから始めた。

近所の保育園

まず行ったのは京都市のA保育園。こちらの園に訪れたきっかけは、自宅から歩いて20分のところにあって、夫と義母の知り合いが働いているからである。

余談だが、京都市に住んでいると徒歩30分圏内は「近所」に思える。福知山市では徒歩5分でもつい車に乗ってしまうというのに、この違いはいつも不思議だ。

さて、A保育園には園庭開放という時間が設けられている。通常通り開園されている保育園に入れてもらって、園児さんとともに園庭で遊べる時間が月に2回あるのだ。園内の見学も兼ねられそうだったので、電話で事前に申し込み、娘と夫と義母と、連れ立ってお邪魔した。

午前10時から始まるのだが、近所だからと油断して出発してしまいすべりこみセーフで間に合った。私達のあとから来ている親子もあり、そこまで時間に厳しくないのかとほっとした。

この日集まっていたのは4人の子どもと、その家族。

参加者が全員揃ったところで、子どもたち一人ひとりに好きな動物を聞き、その動物の鳴き声を真似したあとに子どもがお返事をする『ご挨拶の歌』という歌遊びが始まった。

娘も好きな動物を尋ねられたが、あいにくまだ話せないので、私が声色を変えて「クマさーん」と私の好きな動物を伝えてみた。

歌詞は、こんな感じであった。

♪くまさんのお返事 ガオガオガオ
(娘の名前)ちゃんのお返事 ハーイハイ
(フルネーム)ちゃん〜

先生に名前を呼ばれたら「はーい!」と返事を返すというものだが、娘は突然始まった歌の時間にびっくりしてアーンと泣いていた。

お返事ができるようになるにはまだ時間がかかるのだろう。

ただ、この歌は私の中で流行り、この後しばらくオムツ換えのときなどに娘に歌ってきかせていた。

日常的にある異年齢の交流

ご挨拶の歌が終わったら、園庭に移動した。

園庭に入る前の広場には畑があって、トマトやキャベツなどが美味しそうに育てられていた。バケツサイズの箱に入ったイネもあり、手植えしている様子の写真が貼ってあった。

園庭に入ると、園児さんたちが遊び回っている。うさぎの飼育小屋、すべり台や鉄棒、砂場など、あちこちでそれぞれに遊ぶ園児たち。つい娘の成長を重ねて、口元が緩み目を細めてしまう。

娘を抱いて園舎の上がり口から園庭を見ていると、園児たちが近寄ってきて娘と関わろうとしてくれる。

自分の家にも赤ちゃんがいることを教えてくれる子や、何かを話しかける子、なかには無言で電車のおもちゃを差し出し、次の瞬間娘の首をぐいっと後ろから引き寄せて抱っこしようとする子もいた。

あまりにも急すぎたので制止してしまったが、少し年上の人との関わりは娘にとって初めてのことで、されるがままではあったけれどそれなりに受け入れて応えているように見えた。

聞けば、A保育園では異年齢の関わりを大事にしていて、年長さんが年少さんの世話をすることは日常的な光景なのだという。

保育園の先生たちは、園児に手を引かれていっしょに遊んでいる方や、灯台のように園庭のすみに立って見守りに徹している方など、色んな関わりをされていた。

任せているようで、娘のすぐ近くで園児たちが砂を頭の上からサラサラと少しずつ落として「雨〜!」と言う遊びをはじめたときは、「赤ちゃんは砂埃嫌いやから止めようね」としっかり制止してくださった。

園庭開放は、希望者に11時過ぎからごはんの時間があって、園庭開放に参加している子もいっしょにごはんを食べられる。

この日のメニューはカレー。いいにおいにそそられたが、娘はまだ食べられないので今回はお先に失礼しますと事前に伝えていた。

帰ろうとすると、園庭開放担当の先生が見送ってくださって、私たちの暮らす地区の園庭開放の情報が一挙にわかる紙を渡してくださった。

京都市ならではの選択肢

その紙によれば、京都市の公立の保育園には、施設の有効活用のため平日毎日園庭開放をしているところがある。娘と同じくらいの月齢の子どもたちが通ってくるところもあるようだ。

京都市にいるのは、基本的には週の半分(火・水・木曜日)だけである。だったら、園に入らずとも園庭開放に定期的に参加すれば、同世代と関わる時間はもてるのではないか?

「保育園に園児として通わなければならない」という思考から少し解放された気分になった。保育園のそばの甘味処に入り、お抹茶と白玉あずきを堪能して家に帰った。

2拠点生活をしていても保育園には通える

次の週、福知山市の保育園へ行ってみた。

まず、わたしが年少の頃から通っていたB保育園へ行くことにした。事前に電話で見学を申し込むと、園長先生が時間を調整してくださり園内を直々にご案内頂けることになった。

約束の時間は朝10時半。出がけにバタバタしてしまい、またもギリギリの時間に到着してしまった。
事務所に声をかけると園長先生が笑顔で出てきてくださって、すぐに園内を案内してくださった。
園長先生に「見学の方です」と紹介されながら年齢ごとの部屋をひとつずつ見せていただく。館内は、明かりをつけていないのに光がよく差し込む。部屋の中の掲示物は先生の手作りだろうか、どれも可愛く整って飾られている。

朝のお遊戯前の落ち着いた時間に入れてもらったようで、園児たちはみんな座って先生のお話を聞いていた。外遊びの時間を見せてもらった京都市の保育園よりもおとなしいなぁという印象を受けた。

ひととおり、部屋を見学させていただいてから、京都市で聞けなかった質問をさせていただいた。
私たちが2拠点生活をしていることや、保育園の近所に住んでいないことを話して、それでも通うことはできるかを伺うと「その場合、保育料はどうなるんでしょうかね?」と逆に質問を受けた。もちろん全額払いますと伝えると、「それなら問題ないです」と返された。
2拠点だから通わせられないということは無いとハッキリわかった。

また、入園の年齢については、漠然と1歳からかなぁと考えていたが、B保育園の場合、4歳までなら入れることも分かった。もし通うのであればあと数ヶ月以内に保育園を決めて申し込んで審査されて…という怒涛の流れにとてもついていけないと諦めそうだったのだが、ゆっくり考えてもいいんだなと思えた。

オープンな雰囲気が印象的な保育園

B保育園に行った次の日、福知山市の園庭開放にも行ってみたいと思いC保育園の園庭開放に参加することにした。

福知山市のホームページで調べて、自宅から近いところを選んだ。
事前申込みが必要かどうかわからなかったのだが、当日の朝に電話で確認したところ「どうぞ〜!」と明るい声で応えてくださったので向かうことにした。

C保育園は、雲原の自宅から車で20分ほど。いつも福知山駅まで片道40分運転していることを思えば近いと感じる距離だった。

行ってみたらたまたま事務所にはどなたもおられず、近くの教室の中におられた先生に声をかけると「あぁどうぞ!遊んでいってください!」と言われた。

園庭開放専用のメニューや説明は無く、開放するからご自由に遊んでねというスタイルのようだった。

挨拶しながら園庭に入らせてもらうと、人懐っこく満面の笑みで娘に手を振ってくる園児たちがいた。またも娘の成長を重ねてえびす顔になる私たちであった。

しかし園庭の遊具はいたずら防止のためか紐で縛ってあって残念ながら使えず、まぁ使えたとしても娘はまだ遊べないので、建物の中に戻りお遊戯会を見学させてもらうことにした。

その日のお遊戯では、年少から年長まで全員が体育館に集まり、福知山音頭を踊っていた。そういえば、私は小学校の頃に運動会で地元の音頭を踊っていた。その地域ならではのものがこうしたお遊戯として伝わっていくのは良いことだなぁと感じた。

夫の仕事が始まる前に自宅へ帰るべく早めにおいとましたので、C保育園では残念ながら保育園についてのお話を聞けなかった。しかし、田舎らしい風景の中にあるオープンな園の在り方は、環境でいえば一番好きな感じだなと思った。

私たちが保育園を選ぶ基準は?

3つの保育園におとずれて、当初の疑問であった「2拠点生活でも通えるか?」は解消された。
通える可能性はある。

でも、見学に行けば行くほど、分からなくなったのも事実だった。どの園もそれぞれに良さがあるからだ。

結局のところ、私たちがどんな基準で選ぶかを明らかにする必要があるとおもった。

今月は京都市と福知山市の行き来を車で行ったので、車内の会話は8割方保育園についてだった。

A保育園の見学に行ったあと、ちょうど開催されていた京都市の保育園の絵画展を見に行ったとき、構図や色使いが全く同じ絵が並んでいるのを見て違和感を覚え、絵は好きに描かせてくれるところがいいなぁ〜と思ったこと。

B保育園の園長先生が「年長さんになって人の話を静かに聞けない子は1人もいません。聞けない子は何もできないので後から気づきます」とサラリとおっしゃった時、できない時に置いてけぼりにされるのはチョットやだなぁ〜と思ったこと。

保育園を卒業したあと小学校に入ることを考えると、小学校の学区にある保育園の方がいいのか?不審者対策をばっちりしているところがいいのか、オープンな雰囲気を重視するのか?といった細かいところまで、ああでもないこうでもないと沢山話した。

その中で、ふと私が「もうなんか給食のおいしいところがいいなぁ〜」とつぶやいた。すると「それいいな」と夫が賛同してくれた。

そこから、栄養バランスが考えられていたり、有機や無農薬の野菜を使ってくれているところがあったらいいなぁと盛り上がった。

「自信のないところ」を助けてくれる保育園をつくろう

実は、私たちは娘が生まれる少し前から、家で食べる野菜は雲原で頂くものか、「野菜提案企業坂ノ途中」の定期宅配で農薬・化学肥料不使用のものを買うようにしている。

だから、日々の食事ではおいしい野菜を食べていると思っているが、栄養バランスがとれているかにはまったく自信がない。

そういう「自信のないところ」を助けてくれる保育園があったら、それはぜひお願いしたいと考えついたのである。

というわけで、私たちは給食の味で保育園を決めることにした。

でも、そこまで考えて、またふとつぶやいた。

「それって保育園に入らなくても、自分たちでできるんちゃう?」

使う素材に配慮し、栄養バランスのとれたごはんを食べられる場は、娘と同世代に限らずとも家族よりは多いくらいの数の人が集まって、たとえば月一回から始めて、場所も2拠点生活を活かしてあちこちで開くという形で、自分たちでつくれるかもしれない。

どーんとおまかせできる保育園も、きっと探せばあるのだろうが、それよりも、自分たちが助けてもらいたいことで、同じように助けてほしい人とつながって場をつくっていくことの方が、私たちらしい気がした。

「保育園どうするの?」の判断は、やってみた後でも遅くない。

というわけで、私たちが保育園をつくるなら?を考えてやってみることにした。

来月へ続く。

Category : 住む

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吉田美奈子

吉田美奈子

農家民宿「雲の原っぱ社」宿主。1989年生まれ。福知山市で生まれ育つ。京都女子大学現代社会学部現代社会学科卒業後、NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝で地域教育に関わる。2012年、福知山市の雲原地区へ単身移住。2016年、結婚を機に京都市との2拠点生活スタート。同年11月、女児の母となる。クマと星野源と夫が好き。 ツイッター▷@kumonoharappa ホームページ▷雲の原っぱ社

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