2拠点生活エッセイ 第4回「多世代ごはん会」

京都市と福知山市を行ったり来たりする2拠点生活がはじまって2度目の夏を迎えた。

京都市の家では、盆地・京都ならではの暑さに倒れそうになっている。
福知山市の雲原は通常クーラーの要らない避暑地なのだが今年は梅雨が明けるまでかなり蒸し暑く、やはり倒れそうになる。

そんな気温の中、村役の草刈りを朝から晩までやってくれた夫がひいた夏風邪は、娘へ私へとまわってきてから2週間経った今でもグズグズ治りきらない。

体調の落ち着かないまま月の大半を過ごしてしまった今日この頃だが、ほっとする出来事もあった。

先月の保育園どうするの問題を受けて、「使う素材に配慮し、栄養バランスのとれたごはんを食べられる」「娘と同世代に限らずとも家族よりは多いくらいの数の人が集まって開く」ごはん会を開いたのだ。

「乳幼児も大人も食べられるごはん会」を開いた

7月22日、朝10時。
福知山市の私の集まったのは、栄養士の友人Mさん、実母、われわれ親子の5人。30分後には、友人Tさんも合流した。

0歳・20代・30代・40代・50代のメンバーで、酢鶏とほうれん草のゴマ和えをつくって食べる「乳幼児も大人も食べられるごはん会」のはじまりである。

酢鶏とほうれん草のゴマ和えは、Mさんが保育園の給食担当として働かれていたとき実際に作っておられた献立で、酢鶏の材料である玉ねぎと人参、そして胡麻和えにするほうれん草を味付け前に取り出すことで、乳児用のごはんにもなるという優れものの料理である。

材料は、Mさんがお隣さんと妹さんからもらった野菜をもってきてくれて、私たちも雲原でもらった野菜をもってきて、足りない材料だけスーパーで買うことにした。

ごはん会を開くきっかけをくれたMさん

今回会を開くことになったきっかけは、たまたま目にした岩手県北上地区のコミュニティ栄養士募集の記事 を「今まさに栄養士さんの力お借りしたいわ〜」とfacebookでシェアしたとき、Mさんがコメントで反応してくれたことである。

コメントをもらった次の日に会う約束をして、ごはん会を開きたいという考えに至った経緯から、私の頭の中にある会のイメージや子育てへの思いをざっくばらんに話し合った。

お話の中で、Mさんが福知山市のあちこちの保育園で10年ほど給食を作ってこられたこと、今は別の仕事をしているけれど子どもに関することや人の集まる場にはずっと関心があるということ、栄養の話なら一日中できるくらい好きだということが分かった。

私が「子どもの食を大事にする集まりは既にあるけど、自分たちでもやってみたい」と話したら「わかるよ〜」と賛同してくださって、最終的に「まぁ試しに1回やってみましょうか」という話になったのである。

気さくに参加してくれたTさん、自宅を開放してくれた実母

もうひとりの参加者Tさんは、ちょうどごはん会開催日に都合が良いということで、別件で連絡をとってくださったときに急遽お誘いした方である。

「娘を中心にメニューを考えて開く多世代ごはん会をやろうとしておりまして」と私にしかわからないような言葉で声をかけたせいで「今日は赤ちゃん食をみんなで食べるんかな?」と少し勘違いをさせてしまっていたけれど、ご出身地の滋賀県で有名なお菓子屋さんのケーキを持って気さくに駆けつけてくださった。

そしてもうひとり、自宅を会場として開放してくれた実母。

彼女は整理整頓が趣味で、どれだけ忙しくても家のすみずみまでの掃除を欠かすことはない。

Mさんと私の家の中間地点として実家がちょうどよかったので会場にさせてもらいたいなぁと思ったのだが、きれい好きの母にキッチンを開放してのごはん会の場所提供をお願いしても断られるのではないか?と少し心配していた。

しかし、会の趣旨を説明すると「ふーん、わかった。使いなん」とすぐに了承してくれた。拍子抜けしたが助かった。

皆さんのおかげで、ごはん会を開くことができた。

作って話し、学んで休む

実家のキッチンはコの字型で、それぞれの面に大人が3人立つとちょうどいい大きさである。

酢鶏作りはMさんにお任せして、私はほうれん草の胡麻和えを、夫は娘用の離乳食を作ることになった。

写真を撮るのがとてもうまいTさんには料理風景の記録写真撮影をお願いして、母には娘と遊んでもらった。

ずっと作りっぱなしも疲れるので、一息つきたいときには各自椅子に座って休んだ。

料理をしながら、作り方の話だけでなく近況をシェアしたり自分が赤ちゃんだった頃のことを想像して話したりしているうちに、あっという間に時間がすぎる。

のど自慢の始まりを告げる鐘の音が聴こえた頃、ちょうど酢鶏と胡麻和え、そして娘用の離乳食が完成した。

気楽につくれる安心、パクパク食べてくれる安心

できあがった料理をお皿にとりわけ、テーブルについたとき、すでに自分がとても幸せな気分になっていることに気がついた。

いつも基本的に1人(もしくは夫と2人)で考えて作っている料理と離乳食を、家族以外の人たちといっしょに作って食べられるということが、こんなに心落ち着くことだとは思いもよらなかった。

娘も、Mさんと夫の作ってくれた離乳食をパクパクよく食べた。

普段なら私も夫も娘に注目しているか食べさせているかなので、娘は1人で食べていることが多い。だが今回は、MさんやTさんや実母が同時に食べながら「食べれるかぁ?」「よく食べるなぁ」「すごいなぁ」と声をかけてくれる。

食べている人がいる中で食べることが、娘の食欲を促しているように思えた。

日々を気楽に分担する場をつくろう

会を終えて、やってみた感想をシェアした。

Mさんは「料理の勉強会というよりは交流会って感じでやりたいな。私が料理作って、来た人どうしが話したり食べたりしてくれたらそれがうれしいな」とおっしゃった。

Tさんは「ぼく、今日間違いなく人生で一番栄養について考えたわ」とおっしゃった。

夫は「ご飯作って食べるって日常のことやのにワークショップとして機能するんやなー。あと美味しいご飯みんなで食べてしゃべるって単純に楽しいな」と言った。

私は「楽しかった〜〜。いっしょにつくるっていいですね!」と言った。

実母は、会がお開きになったあとで「私があんたらを育てとったときは1人で家族7人分の食事作った上で離乳食もつくっとったんや。その時代からは考えられへんなー」と言っていた。

おそらく、実母のように1人で頑張っている人は今もいるだろう。

けれど私は1人で娘の食と向き合うことに正直なところ行き詰まりを感じていたし、今回はじめて人と協力して料理を作るところからいっしょにやってみて、分担して頑張る方が圧倒的に楽しいと分かった。

自分たちで保育園をつくるなら?という問いからうまれた、ごはん会。

0からつくりだせる場だからこそ、参加する人同士で話し合って、誰か一人が頑張るのではないやり方を見出していきたい。

来月は京都市の自宅で会を開く。楽しみである。

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吉田美奈子

吉田美奈子

農家民宿「雲の原っぱ社」宿主。1989年生まれ。福知山市で生まれ育つ。京都女子大学現代社会学部現代社会学科卒業後、NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝で地域教育に関わる。2012年、福知山市の雲原地区へ単身移住。2016年、結婚を機に京都市との2拠点生活スタート。同年11月、女児の母となる。クマと星野源と夫が好き。 ツイッター▷@kumonoharappa ホームページ▷雲の原っぱ社