2拠点生活エッセイ第13回「わたしとあなたの12ヶ月」

この2拠点生活エッセイは、方向性や毎回のテーマについて編集部から指定されることはほぼなく、家族3人で京都市と福知山市を行き来する中でのあれこれを自由に書かせてもらっている。

去年の4月から始まって、今年の4月でまるまる1年になるので、第1回から第12回までを読み返してみる。

第1回第4回まではイラストが多い。
これは当時イラスト付きの育児エッセイに支えられて日々を生きていた影響である。時間のあるときにパッと見て気を紛らわせることができるものを書きたかった。といいながら第3回の「保育園はどうするの?」は流し読むには長すぎるけど。

第5回第6回から、文章に変化の兆し。
周りにいる人の話で終わるのではなく、自分の話を書きはじめた。ちなみにこれ以降イラストが毎回1枚だけになるのは、文章の長さが落ち着いてきたのと締め切りギリギリに原稿を用意するリズムが定着したためである・・・。

第7回第8回の頃は、福知山にいなかった。
春から秋までは農作業のため福知山市で過ごす日が多いが、収穫を終えたあとは京都市にいる日が増える。よってこの時期のエッセイは京都市で起きたことを書いている。
始まって以来「福知山の魅力発信WEBマガジンでの連載やから福知山のことは毎回書いた方がいいやろなー」とぼんやり思っていたが、編集部にこの回の原稿を送ったら特に注意もなくオッケーがでて「あ、ええんや」と思ったことを覚えている。

第9回では2拠点生活について書いていない。
どんな文章を書くにしても、読んでくれた人の日々になにか役に立つものでありたいと願っているが、そういうところから離れて存在しているのが、この回だ。イラストにはエッセイの執筆を通してうまれた関わりに感謝しながら新年を迎えたいという気持ちがよく現れている。

第10回は、初心を思い出していた。
年末のバタバタを反省して、行き来しながら感じたこと(雪ばっかりやー)を情景が伝わるように書こうとしている。予定を立てて落ち着いた気持ちで臨みイラストもていねいに描いたので今のところ一番気に入っている。

第11回第12回で、文章を短くしはじめた。
ちなみに第11回だけ色鉛筆と紙がいつものものではないのは片方の家に忘れて移動してしまって、娘の色鉛筆とお絵かき帳を借りたからである。

内容については、どの話も「今月はこんなものに出会ってこう思った」ということを書いている。

あえて書くほどでもないような些細なものでも、出会えば何かしら変化が起きる。

変化のはじめ〜真っ只中の時期に文章を書いているので、数ヶ月後に沈静化したり継続していないことも実は結構ある。

たとえば、第3回の頃は2拠点生活しながら保育園に通うには自分たちに合う園を新たにつくるしかない!と思い込んでいたが、京都市の一時保育(週に数回、朝から夕方まで預けられる)にすんなり申し込めた今、その意欲は完全に薄まっている。

また、第4回で定期的に開いていこうと書いたごはん会は結局あれ以来開いていないが、同居人が増えたのであえて人を集めてイベントにしなくても毎晩のように多世代で食卓を囲める。

その月に書いていることは、その月だから書けるものだ。2拠点生活という完成したものがあるのではなくて、道中をシェアしているのがこのエッセイだと言える。

道中のシェアといえば、私にとって娘との生活がまさにそんな感じである。
進んでいく先があり、まだまだ危なっかしいがいっしょにいると面白いので、離れていくまでは見ていたい。

このエッセイも、読んでくださる方にとってそういうエッセイになれたらいいな。

一年間連載に付き合ってくださった皆さま、ありがとうございました。
4月は体調不良などでどうしても間に合わず、5月の公開になりました。
二年目も、よろしければどうぞお付き合いください。

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この記事を書いた人

農家民宿「雲の原っぱ社」宿主。1989年生まれ。福知山市で生まれ育つ。京都女子大学現代社会学部現代社会学科卒業後、NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝で地域教育に関わる。2012年、福知山市の雲原地区へ単身移住。2016年、結婚を機に京都市との2拠点生活スタート。同年11月、女児の母となる。クマと星野源と夫が好き。

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